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レイカ バランス・ウォッシャーの効果について 長い間、様々な初期盤を聴くにつけ、音の良いものとそうでもないもの、何かが足りないような盤に当たることがあります。今までこれは、1枚、1枚のレコードの出来の違いと思っていたものです。しかし、ある事がきっかけで、これはレコードに使用されているコーティング剤の影響が大きいのではないか、と思い始めました。仮に、このような状況を設定しましょう。 1枚の初期盤があります。それほど盤面にキズはないのですが、にぶく光っている盤。 聴いて見ると、音がこもって、空間表現が出てきません。また、幕を一枚かけたようなとでも言いたくなる音です。音の厚み、風格とでもいうものは感じられます。ただ、初期盤の音は、こんなものではないはず!という思いを抱きつつ、1枚聴き終えるわけです。イコライザー・カーヴが合っていないから、しょうがないのかな?そんなことを思いながら、レコードをジャケットにしまう。 そういう何か、音が今ひとつのレコードは、盤面に海綿活性剤、オイルなどのコーティング剤が付着している可能性があります。これらは水ではなかなか落ちません。また、物質が付着しているか、どうか見た目ではわかりづらいのです。 ある日、私の知人が行ったレイカのバランス・ウォッシャー(以下バランス・ウォッシャー)におけるクリーニング方法とその効果に驚き、早速、自分の思い当たる盤を片っ端から引っ張り出し、そのクリーニング方法を試してみました。以下はそのクリーニングのレポートです。 1. 盤面にバランス・ウォッシャーA液を7〜8滴たらす。(もっと多くても良い) 2. クロス(専用のものでビスコという 以下ビスコと記載)を取り出し、適当な大きさに折る(小さめの方 が良い)手を滑らせないように拭く。 3. 盤面の溝に沿って、時計と反対まわりでクリーニングする。レイカの社長の弁を借りれば、自分の手 がカッティング・マシンになったような感覚。 4. バランス・ウォッシャーを塗った瞬間、正常な盤面は、液が自然に盤に馴染んで、液の伸びもいい。 白濁するのは、A液が盤面上で泡状になっているためで、泡が割れる時の力を利用して盤により 浸透する作用があるという。(レイカ社長談) 液を跳ね返したり、ギトギトになったり、する場合が問題。 5.これは何なのか?レコードを購入したディーラーに連絡を取る。彼は米VPIというメーカーのレコード・ クリーニング・マシーンを使用していた。その機械に使う仕上げ液が悪いのか?(専用液ではないよう だ)別のディーラーは初期プレスの高価な盤に、海綿活性剤のようなコーティング剤を使用していた。 高価なレコードには、より高価に見せるためのお化粧が施されている事がある、ということを肝に 命じておくべきだ。 6.「液を跳ね返す、ギトギトになる」 これらは確実に再生音に悪影響を及ぼしています。 運悪くこのような盤に出会ったら、バランス・ウォッシャーをたっぷりかけ、3分ほど時間を置いた後 盤面をクリーニング。ビスコは液を吸い取りきれず、ビチャビチャ状態になるが構わない。 そのまま充分盤面をトレースした後、新しいビスコでこれらの液を拭き取る。 念入りに行いたい場合は、これを再度繰り返す。 7.レコードを演奏してみて驚いた。まず、高域の伸びがまるで違う。空間表現もしっかり出ている。 一番違うと思ったのは、そのレーベルのカラーが出ること。一言でいえば、プレスされた時点、そのレ コードが本来持っていた音が出てきた感じだ。少なくとも、全てのレコードには剥離剤が付着してい る。これが取れるだけでもレコードの音はかなり改善されるのだ。中にはほとんど変化のないものもあ ったが、そういうレコードはクリーニング中、例のギトギトも出てこなかった。良好な状態なのだろう。 しかし、レイカのバランス・ウォッシャーの本領は、これら即効性でなく、何度もレコードを拭く度に向上 していくその再生能力にあるのだ。私がこのクリーナーに全幅の信頼を置いているのはそのためだ。 歪みの多いレコード、音楽が今ひとつ鳴らないレコード。これらをわずかづつであるが、治していくとい う不思議な経験を何度もした。 なぜ、そのような事が起こるのだろうか? レコードはプレスする時に100トンの力を加えられている。 その盤に加えられた100トン分のエネルギーがレコード構造の基本。エネルギーは盤に残り、 針が 溝を摩擦熱と共に駆け抜けていっても、レコードは一瞬の内に冷却されて、元の形状に戻ろう とする。この形状復帰力は、最初の100トンの圧縮エネルギーによっている。また材質に混ぜら れている天然油脂も自然と表面に浮かび上がるように作用する。レコードはもともとそういう力を持 っているとご理解いただきたい。 問題は、盤の性質をスポイルするような異物で覆ってしまうこと。 このようなものが付着したまま、長時間放置されると、溝の復元力は低下し、異物は溝内で固まって しまう。これらが引き起こすことは、音質劣化や歪み。 まず、盤に付着した異物をクリーニングすること。 きれいになった盤は、保存されたエネルギーによって少しづつ溝を復元していく。 歪みや音質が時間とともに改善していくのはこのため。 製造された当初の溝を一番良く覚えているのは、レコード自身なのだから。 私がレイカの効果は、後ほど現われると申し上げたのは、この事ゆえです。 9.ここで少し、レイカの製品説明を。以前、社長の大越氏と話したときの開発話をもとに書くことに します。 10.レイカの社長は筋金入りのアナログの鉄人だ。この社長がレコードをずっとケアしてきて、レコード をだめにする最も大きな原因は、クリーニング法にあるという結論に至った。かといってレコードをク リーニングしないわけにもいかない(ほこり、カビ、浮遊油成分の付着は免れない)クリーニングした いが、レコードに悪影響を及ぼさない製品が一つとして存在しない。例えば多様されている水、この 中にはカルキが含まれていて、レコードを拭くたびに、そのカルキ剤だけが溝に残っていく。カル キは時間をかけて溝を侵食していくのだという。だから現時点で、そして長い将来に渡って、レコード をだめにせず、良いところを引き出すクリーナーが無いのだとおっしゃる。この強い思いが製品開発 の動機になった。特に大切な初期盤は、材質的に盤の表面がかさかさしやすく、針で溝が傷みや すい。そのため、この時代の原料には、天然油脂を練りこんであるという。この天然油脂が針の通リ を良くし、初期盤独特の滑らかな音質を生み出す。水で拭いたり、アルコールで拭いたりすることは、 この大切な成分を拭き取ることになる。レイカの商品開発は、まず、この天然油脂を復活させること 、そして、盤面の汚れ、カビなどを確実に落とせるものを目指したという。 10.このバランス・ウォッシャーの能力を最大限に引き出すために、同時に開発された専用クロスがビ スコ33。何やらお菓子のような名前だが、その能力は素晴らしい。極細の特注ノズルから噴出され た1本の天然綿をクロス状に、これも特殊な方法で編み上げてあり、充分な弾力と柔軟な性質が得ら れ、レコード溝の中まで入り込んで、ホコリやカビを確実に拭き取ることが可能になったという。 また、一本の糸から出来ているため、ホコリが絶対に出ない、常識内であれば、強く拭いて良い。 レコード盤をキズつけることもないという。 11.バランス・ウォッシャーは、プレーヤーに乗せたレコードの健康状態を知るバロメーターにな る。ギトギト状態は先に書いたとおりだが、通針してみて、盤面を見てみる。中には白いホコリが浮き 上がってくる。この場合、長い時間溝の中に溜まってしまったホコリやカビが、レイカの液で軟化され 針で掻き揚げられたのだ。ひどいものは、二度、三度繰り返しても、まだ出てくる。 健康な盤は、バランス・ウォッシャーで拭くと、きれいに液が伸びてゆき盤になじむ。乾くまで拭いてい ると、今まで見たこともないような鏡面状態が現れ、これが剥離剤の取れた状態であることを教える。 ただし、今まで見ないで済んだスリキズなども見えてくるけれど。 12.バランス・ウォッシャーには汚れを落とすA液に対し、コンディションを維持するB液というものがある 。このB液は好みで使えば良いと思う。幾分、音質がマイルドになるから。時にはさらに抜けが良くな ったり、歪みがピタリと収まったりする。当然、盤面の艶が生まれトレースをよりスムーズにする。 このB液は盤面をコーティングするのではなく、微粒子が点在することで、効果を現す。 レコードに悪影響は全くない。また、使って気に入らなければ、A液で簡単に拭き落とすことが できる。A・B セットで処理した後の、抜けの良い、かつ厚みのある音質は、このクリーナーの能力 の一端をうかがわせるものだ。 憎き海外ギトギト盤に対処できる唯一の方法として、バランス・ウォッシャーを紹介させていただきまし た。皆さんも、今お持ちのレコードで、本来の音で鳴っていないレコードが何枚か、あるかも知れませ ん。これは高価な初期盤ほどその可能性が高いということです。また、ノイズが多く、買い換えようか と思っていたレコードもまだ諦めるのは早いです。驚くほどノイズを静かにする力は、レイカのもうひと つの効能です。手入れ次第で、レコードはまだまだ、生き返ります。 レイカの製品 TOP |